共生
ヘルメット潜水では、スクーバなど近代的な潜水装置とは異なり空気の給排気がダイバーの呼吸に応じて自動的に調整されるわけではない。そのためダイバー自身が空気供給ホースの調整バルブとヘルメットの排気バルブの双方を操作し、呼気で汚れた潜水服内の空気を換気するために十分な空気が供給され、かつ空気供給量に応じた排気が行われるよう調節しなければならない。空気供給量に対して排気量が少なければ潜水服内の空気の量が増加するため浮力も増加し、逆に排気量が多ければ浮力が減少するが、浮力の調整を誤って浮力を増やし過ぎると吹き上げと呼ばれる急激な浮上を引き起こし、減圧症などの高気圧障害の原因となることがある。逆に浮力を減らし過ぎると、空気の供給が追いつかずにどんどん深みへと墜落し、窒息死したり潜水服が水圧で押しつぶされて傷害を負ったりすることがある。この場合、硬いヘルメットは変形しないので、身体がヘルメットに押し付けられて鎖骨などを骨折したりひどい場合には身体全体が押しつぶされてヘルメットの中に押し込まれてしまう例もあるといわれている。このような墜落は作業中に足場を踏み外したような場合にも起こりうる。 装備の重量が大きいこと ヘルメット潜水では、前述のように装備の総重量は80~90kgに達するため、水上では一人で移動することは困難である。また水中でも、フィン(足ひれ)を使用して泳ぐのではなくほとんど水底を這うように歩いて移動する必要がある。しかし装備の重量が大きいことは、逆に潮の流れなどの中でも安定した作業が可能になるという利点につながる。 作業潜水での安全性 ヘルメット潜水では手の先のごく一部しか水に触れないので、比較的低水温でも長時間の作業が可能なうえ汚染された環境でも比較的安全な作業が可能である。また、硬いヘルメットで頭部が完全に保護されているため溶接・溶断や爆発などを伴う作業に対する安全性も高いなど作業潜水に対し適合性が高い。さらに命綱や電話装置を併用することにより、ダイバーが行方不明となる可能性は極めて低いうえ、常に音声による連絡が可能なため水面からダイバーに対し外国為替 の指示や支援が可能であるとともにダイバーが危険な状況に陥った場合でもすぐに水上で気付くことができる。最悪の場合命綱でダイバーを引き揚げることも可能である。 一般的なヘルメット潜水では呼吸ガスとして通常の空気を使用するので、窒素中毒に対する安全性から安全に潜水可能な深度は水深30~40m程度までである。混合ガスを使用してさらに大深度へ潜水可能なものも主に軍事用として開発されたが、安全面や経済面から現在ではほとんど使用されていない。 ヘルメットを除く服がゴムや布のように変形しやすい材料で出来ているものを軟式潜水服と言い、関節は可動であるが全体として金属のように変形しない(しにくい)材料で出来ているものを硬式潜水服と言う。 軟式潜水服であれば水圧が服を通してかかるために浮上前に減圧の必要があるが、硬式潜水服であれば理想的には外部の水圧を受けないので、ダイバーにとって大きな負担となる減圧の必要はなくなる。 しかし、大深度であればわずかながら服も変形するために剛性、強度共に高い素材を必要とすることや、重量がかさむなどの運用上の問題もあり、現在においても構想や実験レベルを脱していない(朝日新聞より)。 参考までに宇宙服にも類似の構想がある。 潜水服の場合は浮上前に減圧の必要があるが、宇宙服の場合は順序が逆になり、船外に出る前に服の内側の加圧の必要がある。しかし現実には船外にでる前にエアロック内を抜気し、さらにそれにはFX がかかるため、このとき同時に服の内側も加圧するので、手間と言う点ではあまり大きいメリットではない。 潜水艦(せんすいかん、submarine)とは、耐圧構造の船体を持ち、水中へ潜航可能な軍艦である。同様の構造の船でも、民間の海底探査用および水中遊覧用船舶は潜水艇、潜水船などと呼ばれる。 潜水艦は巡洋艦や駆逐艦など他の水上艦艇と異なり、水中へ潜航可能という大きな特徴を持つ。水中潜航時は、水上航行時に比べて被探知確率が激減するので、高い隠密性が保てる。高い隠密性によって得られる隠密行動能力は、潜水艦最大の特徴である。通常動力型潜水艦は、原子力潜水艦に次いで、人類が発明した究極のステルス兵器といわれる。 なお原子力潜水艦については本記事と併せて「原子力潜水艦」も参照されたい。 敵に気付かれずに監視網を突破できる。第一次世界大戦と第二次世界大戦ではドイツの潜水艦が、水上戦力では圧倒的に優勢であったイギリス海軍の警戒線を突破して大西洋や地中海へ進出した。第二次世界大戦末期の敵国制海下の海を渡りドイツへ往復した日本潜水艦もある。遣独潜水艦作戦を参照。 敵対国の港湾に接近・侵入し、偵察・情報収集、機雷の敷設を行う。 敵の予想進路上に潜み、待ち伏せ攻撃を行う。補給線を断つために通商破壊作戦を実行する。 戦略ミサイル搭載原子力潜水艦による核抑止力。原子力潜水艦は浮上することなく行動しつづけることができ、その行動の隠密性は非常に高い。この原子力潜水艦にSLBMなどの長距離核ミサイルを搭載すれば、万一核戦争が勃発し地上基地が敵の先制攻撃で壊滅した場合でも、無傷で強力な反撃力を温存できる。自国がこのような反撃力を保有すれば敵は先制攻撃を決断できず、核戦争は起こらないというのが核抑止力の理論。 隠密性の高い潜水艦を探知し攻撃するのは、やはり外為 が有利であると言われている。米露では敵の戦略ミサイル潜水艦を攻撃する任務や、自国の艦隊を敵の攻撃型潜水艦から護衛する任務を与えられている。米海軍の空母打撃群には必ず攻撃型原子力潜水艦が1~2隻随伴している。 小型の潜水艇は、外洋航行力には欠けるものの、沿岸など地形の複雑な場所に隠れると極めて探知されにくい。このため、敵の支配水域に侵入して情報収集に当ったり、スパイを送り込んだり、捕えた敵を海岸付近で収容して誘拐したりすることに用いられる場合もある。 「ハンリー」の内部構造のスケッチ。9人がかりでスクリューを回転させ航行する。防水構造の船体で水中を航行する案は、古来より見られる。アレキサンダー大王が試案した水中船などが構想されてきた。だが実際に建造され実戦投入された潜水艦は、1776年に登場したタートル潜水艇(en:Turtle (submarine))が最初となる。本艦は卵形船体で乗員数は一人、人力駆動の螺旋型推進装置を装備しており、アメリカ独立戦争時に米国が使用したが、敵艦艇撃沈には至らなかった。アメリカの南北戦争中、南部のアラバマ州モービルで建造された南軍の人力推進潜水艇ハンリー(en:H. L. Hunley (submarine))は、1864年サウスカロライナ州チャールストン港外で同港を封鎖中の北軍木造蒸気帆船フーサトニック(en:USS Housatonic (1861))を外装水雷によって攻撃、撃沈した。これが戦争中に潜水艦(潜水艇)が敵船を沈めた最初の例である。ハンリーは乗員と共に帰還しなかったが、理由として自身も魚雷爆発のあおりを食らって沈没したと考えられている。その後1995年に港外の海底で発見され、2000年に引き揚げられて保存・展示されている。艦名は建造出資者の一人ホレス・ローソン・ハンリーにちなんで命名されたが、当人は艇長として訓練中に本艦2度目の沈没事故で死亡した。 なお、当時は潜水艇やデイヴィッド型半潜水艇は敵味方双方からアンフェアで悪魔的(infernal)な兵器と見なされており、チャールストンを封鎖中の北軍装甲艦ニューアイアンサイズの艦長は、同艦を暗夜襲撃して損傷させ、捕虜になったデイヴィッドの艇長を「文明国で認められていない兵器を用いた罪で」ニューヨークで裁判にかけて絞首刑にすると脅した。 内燃機関を搭載した最初の潜水艦は、1900年に米国で建造されたホーランド潜水艦(水中排水量74t)である。本艦の動力系統は、主機のガソリンエンジンと電動機を直結した方式であり、近代的潜水艦の元祖となった。